任意後見と併用して利用できる制度

財産管理の委任契約や見守り契約、遺言書など、任意後見と組み合わせて利用することで、より安心して日々の生活を送ることのできる制度があります。それぞれ、どのような状況において、どの組み合わせで活用すべきなのか、簡単な事例とともに紹介します。

移行型の任意後見契約と遺言書

任意後見制度との組み合わせ

判断能力はまだ低下していないものの、万が一のことを考えて任意後見契約は作っておきたい。ところで、最近は身体の衰えを感じることがあり、日常生活に必要な金額を銀行口座から出し入れしたり、振り込んだりといった財産管理行為が難しくなってきた。また、相続が生じた際には、家族間で揉めたりしないよう、財産をどのように分けるかについて、自分の意志表示をしておきたい。

このようなとき、組み合わせて利用ことになるのは、任意後見契約、財産管理の委任契約、そして遺言書です。任意後見契約と財産管理の委任契約は、移行型の任意後見契約としてセットで作っておくことによって、判断能力が低下する以前は財産管理の委任契約として、また判断能力が低下する事態が生じた場合には任意後見契約として、それぞれ効力を発揮させることができます。

この移行型の任意後見契約書を作る際に、遺言書も公正証書として作っておけば、必要となる書類が一部重複することや、どちらも公証役場で作成する書類であることなどから、手間を省くことができます。

任意後見契約と見守り契約

任意後見契約と見守り契約

子供は既に独立して少し離れた場所に住んでおり、現在は一人暮らし。たまに物忘れが多くなったかな?と判断能力に少々の不安を感じ始めたものの、身体的にはまだまだ元気で、自分で日用品の購入や振込などはできる。でも、もし判断能力が低下してしまったら、誰か信頼できる人に支援を頼みたい。

このようなとき、組み合わせて利用することになるのは、任意後見契約と見守り契約です。たとえば、息子・娘との間で任意後見契約と見守り契約を結んでおくことによって、定期的に電話や訪問をしてもらうようにし、判断能力が低下していないか、日々の生活で何か困ったことが生じていないかなど、確認してもらいます。

もし判断能力が低下したという事態になった場合は、息子・娘が家庭裁判所に申し立てることによって、任意後見人となり本人(親)をサポートします。身内で任意後見契約を結ぶメリットは、判断能力が低下してしまったときどのような生活を望むのか、見守り契約などによる訪問などを通じて、より具体的に遠慮なく伝えることができるということでしょう。

任意後見契約と遺言書

任意後見契約と遺言書

まだまだ元気で働いているものの、今後もし自分の判断能力が低下したとしたら、どのような財産の管理や介護・療養施設との契約をしてもらいたいかなど、ある程度具体的に考えていることがあるので、できるだけその希望に沿ったかたちで生活を送りたい。また、自分に万が一のことがあったとき、家族が困らないように、元気のあるうちに備えだけはしておきたい。

このようなとき、組み合わせて利用するのは、任意後見契約と遺言書(公正証書遺言)です。任意後見契約や公正証書遺言は、作っておけば万が一の際に自分も周囲の家族も大変助かるものですが、作るための手続きなどに手間や費用がかかってしまうため、必要性を感じたときには既に作るのが難しいものでもあります。

40歳になったとき、50歳になったときなど、節目の年に自分の思いや人生観を再確認し、自分のため、そして家族のために、思いが実現できるような公正証書を作成して保存しておくと安心です。

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