任意後見契約とは

任意後見契約は、任意後見制度を利用するために、公証人に公正証書として作成してもらわなければなりません。この任意後見契約の内容はどのようなものであり、またどんな種類があるのでしょうか。

任意後見契約

任意後見契約は、委任者である本人が、自己の判断能力が不十分になったとき、自己の生活や療養看護、財産の管理などを、誰にどのような範囲で代理して行ってもらいたいかを予め受任者と取り決めておくための契約です。この契約書の効力は、本人の判断能力が不十分となった後、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されて以降に生じます。

公証人と公証役場(公証人役場)

任意後見契約は、公証役場で公正証書として作らなければならない決まりになっています。公正証書というのは、法律の専門家である公証人が携わることによって、より効力や証明力が強くなった契約書だと捉えてください。

任意後見契約は、財産管理を含め本人の生き方に関わる大事な契約ですから、よくわからないまま契約させられたといったことがないように、公証人が本人の意志や判断能力を確認しながら、公正証書として作るようになっています。また原本は公証役場に保管されますから、後日勝手に委任内容を書き換えられるという心配もありません。

公正証書としての任意後見契約は、本人と受任者(将来任意後見人となる人)とが一緒に公証役場を訪れ、公証人の面前で作成します。公証役場は、役所というよりも事務所といった雰囲気のある施設です。

ところで、市区町村の役所は利用したことがあっても、公証役場は利用したことがないという人も多いかもしれません。一部の地方では公証役場の数が少なく、遠方の公証役場まで足を運ばなければならないという事態もありえますが、都市部であれば住んでいる自治体に1つは公証役場が存在するということも多いはずです。

任意後見契約の類型

任意後見契約は、その内容や他の契約との組み合わせによって、主に3つの類型に分けることができます。

将来型の任意後見契約

将来型任意後見契約

もっとも基本的なかたちの任意後見契約です。契約の効果が発揮されるのは、あくまで本人の判断能力が低下して以降になります。公正証書として任意後見契約を結んだとしても、本人は判断能力が低下するまでの間は、それまでと何ら変わらずに生活を送ることになります。

移行型の任意後見契約

移行型の任意後見契約

判断能力は低下していないものの、高齢などが理由で、既に身体能力が低下している人などが、早急に財産の管理などを誰かに頼みたいというときに活用する類型の任意後見契約です。財産管理の委任契約(詳しくは、財産管理の委任契約とはを参照ください)と任意後見契約がセットになった契約で、本人の判断能力が低下する以前においては、財産管理の委任契約として機能し、判断能力が低下した後は任意後見契約として機能します。

即効型の任意後見契約

即効型任意後見契約

既に判断能力が低下しつつあり、契約を結んですぐに任意後見監督人を選任して任意後見を開始するときに利用します。とはいえ、判断能力が低下して任意後見契約を結べない状況では、任意後見制度は利用できません。契約を結べる程度の能力がありつつも、通常より判断能力が低下していてすぐ任意後見を開始するという微妙な状況は、本人にとっても公証人にとっても、判断の難しい状況だといえます。

即効型を利用する場合は、契約締結能力が不十分である場合に備えて、法定後見制度も視野に入れて検討するほうがよいのではないでしょうか。

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